トイレの水の流れ方・洗浄方法
近年は、従来と比べて一度の排水量が格段に減り、節水力の高いトイレが多く出ています。
なぜ排水量の少ない節水トイレが出来たかというと、各メーカーの技術・研究により開発された洗浄方法が大きく関わっています。
トイレは全て同じ洗浄方法ではありません。
また、水をただ流しているわけでもありません。
普段、家庭や会社・公共のトイレを使用して、便器の中の溜まっている水の量が違うと感じることはありませんか?
また、タンクの位置・タンクがある・タンクが無いなどで、洗浄方法も変化します。
ではどのような洗浄方法があるでしょうか。
各メーカーで異なりますが、共通するものが大きくわけて下記の排水方法です。
排水量は8~12リットル。便座は普通サイズ・レギュラー
水の落差を利用した流水作用により押し流すように排水する最もシンプルな構造で低価格な便器です。
水溜り部分が狭いので、便器内の乾燥面が多くなり汚れが残りやすく、水を流した際には多少の水はねが起こることがあります。
排水量は8~20リットル。便座は大型サイズ・エロンゲート
水を吸い出すサイホン作用を発生させ、トイレ内の水を排出します。
水溜まり部分は中くらい、乾燥面に汚れが残ることがまれにあります。
排水量は8リットル。便座は普通サイズ・レギュラー・一部大型サイズ有り
サイホン式と洗い落とし式の中間で、洗浄水量を抑えたものです。
水溜り部分がやや狭く、サイホン式より汚れが残りやすく、水はねも多少起こることがあります。
排水量は8~16リットル。便座は大型サイズ・エロンゲート
ゼット穴(噴出孔)の部分から勢い良く水を噴出させて、強いサイホン作用を起こしトイレ内の水を排出します。
水溜まりが広く、トイレ内に汚れが残ることはほとんど無く、トイレ利用時の臭気の発散も少ないです。
排水量は16リットル。便座は大型サイズ・エロンゲート
ロータンクで便器とタンクが一体となったワンピーストイレです。
サイホン作用と渦巻き作用を併用してトイレ内の水を排出します。
水溜り部分が広く、洗浄の際に空気の混入がほとんどなく洗浄音が最も静かなトイレです。
トイレ内に汚れがのこることがほとんど無く、トイレ利用時の臭気の発散も抑えられます。
排水量は超節水の3.6L~5L。
渦を巻くような水流が便器内をまんべんなく回るため、少ない水で効率よく洗い流します。また汚物が付着しやすい後方部分に強い水流があたる新トルネード洗浄(TOTO)や、従来吐水口が2つだったものを3つに増やした新しいパワーストリーム洗浄(LIXIL・INAX)など、しつこい汚れをさらに落としやすくなりました。
現行品の節水トイレはタンクレストイレを含め、このようにパワフルに汚れを落とす旋回式の洗浄方法を取り入れています。
タンクレストイレが出始めた頃は、タンクが無く水道直圧により排水を行っていた為、トイレを設置する際に水圧の弱い場所では設置することが出来ず、排水音も気になるところ。
しかし近年ではそのデメリットな部分をなくした洗浄方法が増え、タンクレストイレでも水圧や音を気にしないで設置できるようになり、タンクレストイレを希望するお客様も増えています。
タンクレストイレの洗浄方法には以下のようなものがあります。
排水量は6~8リットル。
水道直圧で排水します。タンクが無く水を溜める必要がないため、連続使用が可能。水圧が弱いご家庭での設置時はブースターを設置します。TOTOではCS800系(サイホンゼット式シーケンシャルバルブ仕様・メーカー販売終了 )、LIXILではサティスSなどがございます。
排水量は超節水の3.3~4リットル。
パワードライブ式は水道直圧の水とパワードライブユニットにより加圧した水を利用し、3方向から吐水するパワーストリーム洗浄を行います。水圧が弱いマンションや高層住宅でも設置できるようになりました。
エアドライブ式は、パワードライブ式のような排水方法で水と空気の力を利用し静かに排水します。深夜の排水音も気にする心配がありません。エアドライブ式のトイレはLIXILのREGIO(メーカー販売終了)がございます。
ハイブリッドエコロジーシステムは水道直圧の水と内蔵タンクからポンプで加圧された水(ゼット洗浄)を利用し排水します。低水圧住宅、高台の住宅でも設置ができます。
パナソニック独自の排水方式で、少量の水で、勢いよく流すことができます。
トラップ部分が稼動するターントラップ式。通常トラップはUの字のように上を向いている為、排水時はある程度水の量・または水圧が必要でしたが、ターントラップ式はトラップが可動するため少ない水でも自然に排水することが出来ます。
ターントラップ式のアラウーノL150シリーズ、新型アラウーノ、アラウーノSⅡは、泡の水流で流すたびにしっかり洗浄します。
トイレの洗浄方法だけでもこれだけ種類があることに驚きますね。各トイレメーカーさんの開発研究によって、より少ない量の水できれいに流せるトイレが生まれています。
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